ホームページ開設のご挨拶
平成28年5月1日
代表 富原道晴
しろはく古地図と城の博物館富原文庫の創設は平成12年ですから、今年平成28年で16年となります。きっかけは、同年上田市商工会議所の依頼で上田の真田太平記館開館記念と地域活性化を目的として、商工会議所の5階大ホールを会場に戸石城がパノラマのように開ける展望の好立地で、1週間、『戦国時代の城と合戦絵図展』を開催したことにあります。そこには昭和34年中学1年で『武教全書』を購入以来40年間集めてきた古城絵図と合戦錦絵130点を展示、千名余りの方に来場いただきました。ところが当時の書庫は大阪にあり、準備のため、住居である東京と大阪、開催地である上田を奔走しました。以降、東京に書庫を移設しましたが、15万点に及ぶ資料で足の踏み場もない状況でした。そのため、平成20年群馬県安中市、当時の長野新幹線安中榛名駅前に博物館を新設、今日に至っています。ただ、当初資料の収納と公開展示を目的とした博物館も、平成22年に開館記念展である『上野動乱 絵図にみる戦国城館』を開催以降、資料の激増により、収蔵庫と化してしまい、以降は三洋グラビアさんのみまよせホールや、安中市学習の森歴史博物館、上田市真田氏歴史館で城絵図展を開催してきました。『初公開長野県の城絵図展』『城絵図にみる上州の戦国時代展』『会津若松城下絵図屏風展』『真田家の城郭とその戦歴展』『大坂冬の陣展』等であり、さらに福島県立博物館、熊本城調査研究センターほか多くの博物館等に資料の貸し出しを行ってきました。現在では、城郭資料のブラックホールと化しており、全国の骨董、古書業界から古地図と城郭資料が流入し、収蔵資料は18万点を超えると思われます。この間、平成24年には42年間勤務したサカタインクス株式会社を多くの印刷の知見と優秀なスタッフに恵まれたことを感謝し、機材開発担当理事を最後に退任、24時間城という時間を持てるようになりました。経済人として、開発担当として駆け巡った体験を生かし、城郭研究家がその知見を活かし、城郭情報と資料の収集をして見ることにしました。経済人の城郭研究と位置付けています。城郭資料の収集のため古物の免許は平成3年には取得していましたが、平成25年群馬県古書籍商組合入会、ミュージアムショップ『古地図と城 城郭文庫』を立ち上げました。以降、城資料以外の古絵図、古地図、錦絵は東京ビックサイトの骨董ジャンボリー、東京流通センターの平和島骨董まつり、古書同好会の目録で、全国の博物館、コレクターに利用いただいています。城郭資料は交流センターを立ち上げ、研究者間の流通を企画しました。ホームページも10年以上前に当時のスタッフに作成していただきましたが、パソコンの故障や転居の騒ぎにより、消えたままになっていました。たまたま、長男のお嫁さん富原みな美さんがパソコンを得手としており、お願いしてホームページを作っていただきました。感謝です。
Ⅱ部 回想 城郭研究を支えてきたのは戦後、城郭研究が忌み嫌われてきた時代から、城を愛し、歩き続けてきた人々です。縄張研究という残された一級資料である城跡から真理を読み解くという崇高な作業であり、中世城郭研究会、織豊期城郭研究会、城郭談話会、少し対象が違うが、日本城郭協会、日本城郭史学会、城郭遺産を生かす会、各地城郭研究会が今日の城郭研究を支えてこられました。私は日本城郭近畿学生研究会に携わり、機関誌城春を発行、メディアに目が開き、インキメーカーを選択しました。印刷のにおいにひかれました勤務地は故郷大阪を離れ、金沢、東京と転戦したが、最終的には開発担当として印刷業界に最先端技術を届ける事、その範囲は印刷技術から、環境対策、工場設計、CDCM等省人化無人化の対応を世界中から集め、又、開発し、オンリーワンを誇った。数100億円に上るその成果よりも業界の危機を救済し、乗り越えたことの喜びの方が大きかった。多くの災害への救済作業もオリジナルの技術で実施した。その間、城郭への対応は学生時代の日本城郭全集や金沢時代の中世城郭辞典等微々たるものであるが、夢は大きく、井上宗和氏の逝去により日本城郭協会が一時活動を制止した際は全国城郭研究協議会を発足させ、城郭情報の一元化と提供を試みた。残念ながら小生の決意不足で1号雑誌に終わってしまったが、そのような活動の必要性は認知された。今はネット環境で必要があればいつでも情報が取れる時代になった。当時は地方の城郭ニュースは図書館にいって地方新聞から集める他なかった。56年間で約4000以上の城郭遺跡を踏査してきたが、さすがに若いころが大半であり、一度行った遠方の城を再び訪れることは少ない。今城郭の研究は中世城郭研究会を卒業した多くの研究家が担っている。決意したのは経済人としてのキャリアを生かした城への携わり方である。12歳以降68歳の今日まで56年間城にのめり込み、人生の後半28年間は時代の先端技術に携わってきた。情報の集め方、生かし方は十分に承知している。平成3年には古物の免許を取得し、骨董市場を駆けずり回った。退職後は平成24年に群馬県古書籍商組合に参加し、古書ルートの情報網もゲットした。今は城郭博物館として『しろはく古地図と城の博物館富原文庫』、ミュージアムショップとして『古地図と城専門店 古書肆 城郭文庫』を経営、ほぼ毎月メールマガジン『活動記録古地図と城の泉』を刊行している。5月にはホームページも開設の予定である。城郭研究家が城郭資料コレクターであり、古物商であり、骨董商であったらどうなるか、今、日本国中の城郭資料のブラックホールとなっている。